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残るは言葉ばかりなり。


by fly-high0320

むう。。。

巷で噂になっている、某独裁者の処刑映像を見た。物見高いタイプですんで。えへ。

うーん、まあ好き好んでみるもんじゃないし、見終わった後もそりゃいい気分ではないけど。
ベトナム戦争で、ニュースカメラの目の前で米兵が市民を銃で撃つ映像を前にドキュメンタリーで見たときを思い出しました。ただ、殺される、という事実が同じなだけ、ではあるんだけど。でも。ちょっと重ねてしまったりして。

独裁者と、市民と。命の重さは…なんて簡単に話せるようなことではないけれど。

執行の直前に彼が叫んだコトバ。ニュースでは伝えられてるんだろうけれど、自分は知らなくて。彼の信念、だったり、思い、だったり、そんなことを言ったんだろう。

そりゃ、他人に迷惑かけるような考えはいかんけどさ。それが人の生活を守る立場でありながらも大規模人権侵害をしたってんなら言わずもがなではあるけれど。

でも。と。世の中誰にも迷惑かけないで生きていくことなんてできなくて。自分が考えて、行動したことは続けたいと思うし、続けるべきであることもあると思う。それが他人に時には悪い影響を与えてしまうことって、程度の差はあるけどいつだってある。

きっと世の中には、お互いが誰かに、もしかしたら目の前のその人に途方もない迷惑をかけながら生きてるのに、相手のしたこと、その影響の一部しか見ないで話をする人が沢山いて、同じような見方の人たちが集まって話をする場が沢山あるんだろうな。それがぶつかり合って、分かり合えなくて、自分の考えしか見えなくなってしまって、対立とか抗争は起きてしまうんだろう。


ハイチをやってると、冗談でも思ってしまうんだ。「独裁者でいいから何とかしてくんないかな」って。失業率70%以上、平均寿命およそ45歳。挙げたらキリがないハイチの惨状を改善できるなら、民主的でなかったとしても、少しの問題を孕んでいたとしても誰かが強力に主導していかなきゃ無理なんじゃないかって。アジアも、ラテンアメリカもそうやって新たな深刻な問題を生みつつも発展していった国は多い。なら、ハイチにもその手しかないんじゃないかって。

今までもハイチはずっと独裁が続いてきて、経済成長も人権改善もシビリアンコントロールも全く効かなかったけど。冒頭の某氏がやったことは絶対に許されないこと、なのだろうけれど。でも。彼らがしてきたことだけを、ただ無闇に非難するのでは、紛争の原因を作っている状況と同じだと思うんだ。今回はたまたま彼らが悪かっただけで。

彼らに対してさえ、自分は「なのだろうけれど」というような曖昧な表現しかできない。それは、知識がないから。
冒頭某氏が化学兵器でクルド人を実験台にしたこととかは知っている。独裁者として圧政を敷き、人権侵害を国内で起こしたことも知っている。けれど同様に、彼がそこまでできたリソースは元をたどれば米国由来だ、というのも学んだことだ。
正直、彼がどこまで悪「だった」のか、わからない。少なくとも、絶対悪ではないと思う。けど、社会はそういう論調だ。
事実を多少歪めてでも明解にしないと、混乱が起きる。だから仕方ない。彼は絶対悪としなければならない。そういう考えもあるだろう。正直そうだと思う。けど、社会がそうである必要があったとしても、せめて自分は事実を捉えていたいと思う。

相手の立場に立てないことは、恐ろしい。だから、もっと自分とは違う意見を、事実を知りたい。理解できなくても、知ることだけでもしておきたい。そうでないと、自分も混乱の中で、冷静な判断ができずに誰かを傷つけてしまうかもしれないから。

それはただの知識の詰め込みになるのかもしれない。それだけでも大きな変化であると思う。知ることは難しいから。目に見えるものや、明らかにそれとわかるようなことなんて殆どないから。でもできればそれに、理解すること、そして対話をすること、を重ねていきたいと思う。


できるのかな。「独裁者」と対話なんて。多分無理なんだろう。諦めてしまうのも仕方がない時だって、沢山あるだろう。

人権保障のための国際会議で、with universal respectってコトバが決議に入れられてる。人権保障の議論のうえで、相互の尊重を国際的にはかっていこう、という意味だ。けど、実際の会議は、自国の人権状況を非難されたくない加盟国、他国を非難したい加盟国が政治的な対立を起こして尊重どころか議論にすら至っていない。
紛争後平和構築では、social dialogueが必要であると言われ、国連平和活動によって進められたりする。けど、当事者がやめる意思がないところへ第三者である国連が入って仲介をしようとしても成功した試しは殆どなくて、紛争へ逆戻りってのがよくあるパターンだ。

それは、絶望でもあり、希望でもあると思う。知り、そして理解すること。可能性もあるし、限界もある。どこまでできるのだろうか。自分は、そして国際社会は。



留学。貴重な経験になるといい。少しでも、世界の現状―希望と絶望に近づけるように。
by fly-high0320 | 2007-01-09 23:48 | daily life